指導例

1  百人一首

小学4年生から、百人一首を教え始めます。
もちろん、4年生・5年生・6年生で、読み方も意味の教え方も違います。
例えば取り札をさせる時、次の歌の場合ではこのようになります。

大江山生野の道のとほければまだふみも見ず天橋立    小式部内侍

4年生のクラスなら、2度目に下の句を読むときは、
「また ふみも みす あまのはしたて」と、ゆっくり、大きな声で読む必要がありますし、
6年生なら「まだふみもみずあまのはしだて」と普通に読みます。
4年生では、取り札に書いてある通りに読んであげないと、ひらがなばかりの歴史的仮名遣いで書かれてある内容を「何となく読み取る」ことはむずかしいからです。

内容も、4年生にはシンプルに、
「お母さんと離れて暮らしている天才少女が詠んだ歌」とだけ説明した方がなじみやすいですが、

6年生なら、和歌の名人である母・和泉式部が、天橋立のある丹後に下っている時、都に残った娘の小式部が歌詠みに選ばれ、「お母さんに教えてもらわなくていいのか」とからかわれたのに対し、即座に詠んで相手をやりこめた歌、という説話における解説を、わかりやすく話してあげた方が、より心に残るでしょう。


とは言え、子どもが百人一首を学ぶ時にもっとも大切なのは
「知らず知らずのうちに韻律が身につくこと」であり、意味内容の「説明」にこだわったりはしません。
「日本語の美しさ、リズムの魅力」をゆったりと取りこみつつ、その中で「いくつか好きな歌ができる」ぐらいのことで良いのです。

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