小田原漂情著『たまきはる海のいのちを-三陸の鉄路よ永遠に』読者のみなさまからのおたよりをご紹介致します!

 有限会社言問学舎は、東日本大震災発生後満10年を迎えた今年の3月に、震災で亡くなられた多くの方々の鎮魂と、一部が失われた「三陸縦貫鉄道」の顕彰とを志し、舎主小田原漂情著の新刊『たまきはる海のいのちを-三陸の鉄路よ永遠に』を出版しました。美しい三陸の風光とノスタルジックな沿岸の鉄道線を描きながら、生きることの奇蹟を歌い上げる恋愛物語ですから、中・高生から大人まで、幅広い年代の方に親しまれる読み物です。またカラー口絵32ページに、昭和40年代・50年代の貴重な鉄道写真と、震災前・後の沿岸の写真を豊富に掲載しており、資料としても希少な価値を有しています。総ページ数272ページ、本体価格1600円+税。2021年3月1日発売。

 刊行後、これまでに寄せられた、本書をお読み下さった方からのおたよりを、ここに紹介させていただきます(一部、Web同人誌『Web頌』初出時のものを含みます)。

また、新たにお読み下さった方々からのおたよりも、ご本人のご承諾の上で掲載させていただく方針です。

・往時の高田松原の姿をなつかしく思い出します。作品としては、英介と早希子、二人の今後がどうなるのか、興味ぶかいです。小田原様の当地に寄せる思いに感謝します。

・小田原さんが被災された方々への鎮魂の思いを消さず、かくも大きい広がりを感じさせるストーリーを紡ぎだされたことに深い敬意を表します。思いもよらずに別れ別れとなったふたりが、また再会を果たしてともに未来に向かう結末は、物語のテーマに沿ったものといえるのではないかと思いました。

ふたりが8年もの長いブランクをよく埋めたと思いました。英介の心の広さが印象的でした。それこそが「愛」ですね。

・小説の筋の中にうまいぐあいに鉄道の情報が盛り込んであり、鉄道を知っている人ならではの表現が随所にあって、自分も主人公とともにいるという感を強く与えられます。鉄道が主になると、違った方向の作になってしまいますが、一般読者に対する記述を意識しながら鉄道についての正しい知識にもとづいて書いていく姿勢に、興味深いものを感じました。舞台装置に鉄道が効果的に使えることの実証ともなります。

三陸鉄道や国鉄の沿線風景描写も、物語にほどよい陰影を投げかけていて旅心をさそいます。小田原さんの鉄道紀行小説が鉄道文学の新しい可能性を開くことに、期待します。

 

・鉄道の詳しい描写を背景に、英介と早希子のみずみずしい交流が鮮やかに浮かび上がります。鎮魂と再生を祈る稀有なる小説に、ぐいぐいと引き込まれております!

・東北地方のよく知る地名や行ったことのある土地が舞台なので、とても親しみを感じました。鉄道ファンにとってはどんなにか嬉しい、貴重な記録集にもなる一冊と思いました。

 小説の舞台は、東日本大震災よりもずっと以前ですが、東日本大震災を経験した人たちの心にも沁みる、優しい小説と思いました。読後にほっと心温まり、優しい気持ちになりました。芭蕉の卒論での偶然と必然は早希子との関係に重なってくるものがあり、最後の早希子が登場してからの急展開もすっきりと読み終えられました。

・純愛といってもいいような美しい思いで紡いだ小説です。そのストーリーよりは、背景となる三陸の風景、鉄道の描写が生々として作者の思いが伝わります。と思って同封された書状を見ると、「本書は震災で亡くなられた方がたを追悼し、失われた鉄道線を顕彰する目的で書いた・・・」とあります。なるほど、鉄道のくだりに力が入るわけです。(中略)震災前後の三陸の鉄道の写真、解説と合わせて拝見すると、震災の前と後の落差が、時代の落差とも重なって、迫ります。

・震災から十年、新聞やテレビで当時の惨状を見ては、胸の痛む想いをして居りましたが、御著書を手にして、小田原さんの深い深い追悼のお気持ちがこの様な珠玉の一冊に結晶したのだと感動しています。

・作品、面白かったですし、美しい言葉遣いに、見習わなければと、我が身を反省しました。鉄道に対する小田原さんの思いがひしひしと伝わってきました。英介さんと一緒に旅をしている気分にもなりました。こんな形の支援もあるのだなと、被災地に対する思いにも敬服させられました。

・東北の大地と海と、そこに暮らす人々への深い思いが感じられる一冊ですね。震災以前の姿を永遠にとどめておきたい思いと、かつて東北を旅して慰められた感謝の思いと、今後ともつながりを持ち続けんとする決意と……さまざまな思いが感じられました

・久し振りに小田原君の作品に触れ、変わらぬ心情、尽きる事の無い浪漫、清やかな表現等、大変好ましく感じられました。(中略)時間を持って熟読したいと思っております。

・御高著『たまきはる海のいのちを』拝受いたしました。心から御礼申しあげます。誰もが体験した東日本大震災の衝撃を、個にひきつけて一巻の本に結晶させた努力に敬服いたします。

◇「十年後の今に向けての作品」

“人生に偶然はあるが、必然はない。必然と思い定めるのは、個人の思惟である。だが、時に必然と考えざるを得ないできごとに行きあたるのも、また人生だろう。”

これはこの作品の91〜92ページからの引用である。本来はもうすこし長く続いているのだが、私はこの数行に大変な感銘を受けた。もちろん人生とはこうであると一言には言えない。けれどもこれら主人公が感じ思考した事柄に、妙に納得がいった。東日本大震災は偶然だった。そこから起きた事故も、様々な人の苦難も、偶然だった。けれども必然と考えなければやっていけない人々がいた。

今、震災から10年が経過している。それをまざまざと感じさせてくれた。私たちがあの日あの時感じたことを、もう一度思い出し、そして向き合えるような、記憶に残る作品だった。

Amazonレビュー 2021.5.14より

◇「色褪せることが無いように…」

東日本大震災発生時、みなさんは、どこで誰と、何をしていましたか。被災地で最後まで自分の仕事を全うした人、家族や友人を守るために命を犠牲にした人、周りの助けによって今生きている人。亡くなった人の魂は今も復興先で生きている。10年たった今でも消えることの無い記憶が風化しないように、そして当時の悲しみや悔しさ、愛情の深さが読者の胸に深く刻まれるような1冊です。またこの本に掲載されている写真の一部は、実際に著者の小田原漂情さんが取材して撮影したものだということです。色褪せることの無い現実を、もう1度この機会に考えてみてはいかがでしょうか。

Amazonレビュー 2021.4.29より

◇「失われる前の姿が在ります」

筆者は、東日本大震災で失われた多くのものたちの、失われる前の姿をこの作品の中に遺してくださっています。

お恥ずかしながら、私自身は未だ東北を訪れたことがありません。そんな私にも、主人公の眼前に広がる景色をありありと想像させてくれるような、精緻で瑞々しい描写で情景が描かれていました。また、主人公とその想い人の恋模様も、女性目線で楽しませていただきました。読後にじんわりとあたたかな気持ちになる作品です。

Amazonレビュー 2021.6.6より

 ひきつづき、言問学舎塾生(高校生)の書いた感想文も、公開させていただく予定です。また今後も同様に、みなさまからお寄せいただく読後記を、当ページ他のWeb上で、紹介させていただきたいと思います。一定の期間で幾篇かをまとめて掲載させていただき、お名前は記しません。

 『たまきはる海のいのちを‐三陸の鉄路よ永遠に』の詳細、ご購入方法等は、下記リンクよりどうぞ!

https://www.kotogaku.co.jp/kokugo/new_book.html

新刊たまきはる海のいのちを‐三陸の鉄路よ永遠に』ご案内

 まもなく3月11日、あの東日本大震災から満10年の時がやって来ます。言問学舎ではこのほど、震災で亡くなられた多くの方々の鎮魂と、一部が失われた「三陸縦貫鉄道」の顕彰とを志し、小田原漂情著の新刊『たまきはる海のいのちを-三陸の鉄路よ永遠に』を出版致しました。美しい三陸の風光とノスタルジックな沿岸の鉄道線を描きながら、生きることの奇蹟を歌い上げる恋愛物語ですから、中・高生から大人まで、幅広い年代の方に親しまれる読み物です。またカラー口絵32ページに、昭和40年代・50年代の貴重な鉄道写真と、震災前・後の沿岸の写真を豊富に掲載しており、資料としても希少な価値を有しています。

 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震=東日本大震災では、1万8千人を超える方々の尊い命が失われ、未だに行方不明とされている方も、数千人と言われます。一度失われた命、愛しい人の笑顔を、ふたたび取り戻すことはできません。

 当時は仙台から石巻へ向かう仙石線や、石巻線、気仙沼線、大船渡線、山田線、三陸鉄道南リアス線、北リアス線など、津波の被害を受けた太平洋岸の鉄道各線が各地区で寸断され、運休する事態となりました。その後各線は徐々に復旧していきましたが、気仙沼線柳津‐気仙沼間、大船渡線気仙沼‐盛間はBRT(バス高速輸送システム)に転換され、鉄道事業は廃止のやむなきに至ったのです。

 作品は1983年(昭和58年)から1987年(昭和62年)にかけての仙石線、石巻線、釜石線、山田線、三陸鉄道北リアス線、南リアス線、気仙沼線の各線と、その沿線を舞台としており、一人で旅をする青年英介が、各地の情景や、人々とのふれあいを経て、不本意な別れを強いられたかつての同級生早希子のために強く成長し、やがて彼女を迎えるまでの4年間の足跡の中に、三陸の海と鉄道をたたえる意欲作となっております。

 表紙は小田原漂情自身が2020年9月26日・27日に現地を取材し、撮影した「志津川の海」の写真をベースにしています。また小田原が撮影してきた現在の三陸各地の写真に加え、三陸地方各地ご出身、在住の方々や企業、自治体からもご提供いただいた口絵写真をカラーページ32ページに掲載し、1984年4月1日に全線開通した「三陸縦貫鉄道」のかけがえのない歴史、また東日本大震災の被災の一端を長く伝えていくことを、出版のそもそもの目標としております。

章構成と文章中に描かれている区間は、以下の通りです。

一  時きざむ海         仙台-野蒜・宮戸島(奥松島)                          

二  ゆくりなき会い       野蒜-石巻-女川                        

三  山の果てに海ありて‐釜石  花巻‐遠野‐釜石                     

四  春を呼ぶ風         釜石‐浪板‐宮古‐田老                           

五  真直ぐなる意志       釜石‐陸前高田‐気仙沼・唐桑半島                        

六  志津川の海         仙台‐小牛田‐前谷地‐志津川 

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