新刊たまきはる海のいのちを‐三陸の鉄路よ永遠に』ご案内

 まもなく3月11日、あの東日本大震災から満10年の時がやって来ます。言問学舎ではこのほど、震災で亡くなられた多くの方々の鎮魂と、一部が失われた「三陸縦貫鉄道」の顕彰とを志し、小田原漂情著の新刊『たまきはる海のいのちを-三陸の鉄路よ永遠に』を出版致しました。美しい三陸の風光とノスタルジックな沿岸の鉄道線を描きながら、生きることの奇蹟を歌い上げる恋愛物語ですから、中・高生から大人まで、幅広い年代の方に親しまれる読み物です。またカラー口絵32ページに、昭和40年代・50年代の貴重な鉄道写真と、震災前・後の沿岸の写真を豊富に掲載しており、資料としても希少な価値を有しています。

 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震=東日本大震災では、1万8千人を超える方々の尊い命が失われ、未だに行方不明とされている方も、数千人と言われます。一度失われた命、愛しい人の笑顔を、ふたたび取り戻すことはできません。

 当時は仙台から石巻へ向かう仙石線や、石巻線、気仙沼線、大船渡線、山田線、三陸鉄道南リアス線、北リアス線など、津波の被害を受けた太平洋岸の鉄道各線が各地区で寸断され、運休する事態となりました。その後各線は徐々に復旧していきましたが、気仙沼線柳津‐気仙沼間、大船渡線気仙沼‐盛間はBRT(バス高速輸送システム)に転換され、鉄道事業は廃止のやむなきに至ったのです。

 作品は1983年(昭和58年)から1987年(昭和62年)にかけての仙石線、石巻線、釜石線、山田線、三陸鉄道北リアス線、南リアス線、気仙沼線の各線と、その沿線を舞台としており、一人で旅をする青年英介が、各地の情景や、人々とのふれあいを経て、不本意な別れを強いられたかつての同級生早希子のために強く成長し、やがて彼女を迎えるまでの4年間の足跡の中に、三陸の海と鉄道をたたえる意欲作となっております。

 表紙は小田原漂情自身が2020年9月26日・27日に現地を取材し、撮影した「志津川の海」の写真をベースにしています。また小田原が撮影してきた現在の三陸各地の写真に加え、三陸地方各地ご出身、在住の方々や企業、自治体からもご提供いただいた口絵写真をカラーページ32ページに掲載し、1984年4月1日に全線開通した「三陸縦貫鉄道」のかけがえのない歴史、また東日本大震災の被災の一端を長く伝えていくことを、出版のそもそもの目標としております。

章構成と文章中に描かれている区間は、以下の通りです。

一  時きざむ海         仙台-野蒜・宮戸島(奥松島)                          

二  ゆくりなき会い       野蒜-石巻-女川                        

三  山の果てに海ありて‐釜石  花巻‐遠野‐釜石                     

四  春を呼ぶ風         釜石‐浪板‐宮古‐田老                           

五  真直ぐなる意志       釜石‐陸前高田‐気仙沼・唐桑半島                        

六  志津川の海         仙台‐小牛田‐前谷地‐志津川 

※全国各書店からご注文いただけます。書店様は日販・トーハン等各取次から発注可能です(有限会社言問学舎は㈱地方・小出版流通センター帳合です)。アマゾンでは現在即日出荷の販売体制となっております。。  

Article Writter By

小田原漂情

小田原漂情

1963年2月、東京都杉並区生まれ。中学時代から短歌等の実作を始め、大学では日本文学を専攻。卒業と同時に『歌人舎』舎主の鈴木實先生(株式会社画文堂社長)に師事し、その指導のもとで、25歳の時に第一歌集を出版。二十代で歌集3冊、エッセイ集1冊を出版する。

Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です