小学校は移行措置、中学校は先行実施として来年度から対応開始
小紙前号でもお伝えしました通り、小学校では平成二十三年度(二〇一一年度)から、中学校では同二十四年度(二〇一二年度)から、新しい学習指導要領が実施されます。今回の指導要領改訂は、四十年近く続いて来た学習内容の削減から、内容増加に方向を転じるものであり、「脱・ゆとり教育」というフレーズも、しばしば目にするようになって来ました。
そして、いま注意しなければならないことは、新指導要領実施に先立って、来年度から、小・中学校とも先取りの指導内容が学校現場に導入されるということです。特に、算数(数学)・理科において従来削減されて来た内容が復活(または学年間移動)するほか、年間の授業時間数の増加が定められており、さらに小学校では五・六年生での「英語」の新設・必修化が盛り込まれています。
理・数を中心とした授業時間数の増加分は、主として「総合学習の時間」の削減によって捻出される模様ですが、小学校においてはそれだけではなく、週の授業時間数が一時間増えるとのことです。
現在文京区では具体的な方策を検討中とのことですが、年間の時間増そのものは決定済みのことですので、例えば水曜日の五時限化や長期休業の短縮等も予想されます。習い事などにも影響があると思いますので、詳細については各学校からの案内にてご確認下さい。
中学入試はサンデー・ショック
平成二十一年(二〇〇九年)は二月一日が日曜日となります。このため日曜日に礼拝を行なうプロテスタント系の女子校を中心に、通常二月一日に実施する入試を二月二日(月)へと変更する学校があり、一般的に「サンデー・ショック」と呼ばれています。
東京都内では、女子学院、立教女学院、
東洋英和女学院、恵泉女学園、玉川聖学院などの中学校が、二日入試に変更をする学校です(立教は前々日に面接)。
実際にどのような変化が生じるのかと言えば、右に挙げた学校の中で、通常女子学院は二月一日入試ですから、例年なら「桜蔭/女子学院」の併願はできません。しかし今回の入試では両校の受験が可能となるわけです。
ただこのことは単純に「ダブルチャンス」と捉えられるものでもありません。例年通りなら、両校は一日に完全に受験者を分け合っているのであり、今回は実力の高い受験者が両方受けるケースもあるわけですから、当日の得点ラインによっては、逆に厳しい面に作用することもあり得ます。
また両校だけでなく、次位レベルの学校の受験者層への影響が、さらに複雑にからみ合って来ます。女子学院第
一志望者は、今回は一日に比較的手堅い学校で「まず合格を勝ちとり」、二日に女子学院にチャレンジ、ということも可能です。これらの要因が二日、三日あたりまで複合的に関係して、受験全体の結果が出て来ますので、実際の応募者、受験者がどのように変化するかは、当事者校、周辺校でも毎回読み切れないのが実情です。
したがって受験生とご家族のみなさんも、「サンデー・ショック」であることからスタートして受験を考えるのでなく、本来の志望・方針に対してこのことをどのように利用できるか、という観点から、全体の受験戦略を組み立てて行かれるのが良いでしょう。
各校入試説明会の活用を
中学入試のみならず、高校入試においても学校ごとの情報をきちんと収集することが肝要です。本年度も次ページに、近隣の学校の十一月からの学校説明会等のスケジュールを掲載しました。私立中学・高校を受験されるみなさん、体験授業や入試対策会などの貴重な行事を掲載しています。どうぞご活用下さい。特に高校で推薦入試をお考えの方は、必ず個別入試相談にご参加下さい。
私どもでは第三期の中三生が来春大学受験を迎えることになり、長年慈しんで来た生徒たちが、いよいよ「受験」のラストステージに臨むところです。
本文では割愛しましたが、昨今は大学入試も様変わりの著しいものがあり、AO入試、自己推薦、公募推薦等々、学力試験以外の方法で、多くの機会に志願者を集める傾向となっています。
私の教え子にもすでにAO入試で合格、内定をもらった生徒たちがおりますが、こうした入試で求められるのは「自己表現力」であることをお知らせするべきと考え、本欄にてひと言、お伝えする次第です。
一方、こうしたチャンスにせっかく早く合格しても、入学後、学力的について行けないのでは本末転倒です。早期合格者も、一般入試でその大学に受かるぐらいの勉強はしておかなければなりません。これもお伝えすべき大変重要なお話です。