高校無償化について
平成二十一年度で、都立高校では年間の授業料が一二二、四〇〇円(入学料五、六五〇円)となっていますが、都(道府県)立高校へ通う人にも、私立高校へ通う人にも、ほぼ同額の一人当たり約十二万円が支給され、公立高校の場合は実質「無償」化されるというものです。
対象はその後、高専(三年間分)や専修学校にも拡大されました(私立高校通学者は所得により十二万円~二十四万円。また個人あての支給ではなく学校への入金)。
高所得者へも一律のものであることや、すでに授業料等が減免になっている家庭には、別の施策がなければ逆に教育の不均衡が起きるなどの問題も指摘されていますし、「財源」の点でも大きな困難を伴うことではありますが、学費の負担が減る分、勉強の別の面に振り向ける余力ができることそのものは、良いことでしょう。課題点には相応の施策を用意するなどして問題をクリアし、実行して欲しいものです。子ども手当
民主党マニフェストの大きな目玉の一つでした。こちらも財源が大きな問題です。しかし未来を支える子どもが元気であることこそ、国を支える力の源でしょう。子どもたちが、そして親御さんたちが、ゆとりと元気を持つことで、世の中全体が活性化するならば、それは国のためにも喜ばしいことと言えるでしょう。
教員の・養成のこと
教員免許の取得条件を大学院修士課程修了とし、養成課程を六年にするという方針も打ち出されました。これについては単純に賛意を表明することはできませんが、「教育の質」の向上が、やはり子どものため、未来のために重要な施策であることは言うまでもありません。単なる形式上の措置や立案者の独りよがりにならぬよう、現場の声や実情にきちんと目を向け、確かなビジョンを描いて欲しいです。
私立高校入試の変更点
さて、新政権の政策とは別の事情によることですが、例年ご紹介している私立高校の「併願推薦」に関して、来春は大きな変化がありますのでご案内致します。
従来、多くの私立高校で、自校を第二志望などとする受験生に対し、一月二十二日からの受験日に、B推薦・推薦Ⅱといった名称で、都立高の合格発表後まで入学手続きを延期できる形の推薦入試が実施されてきました。
しかし都内の公立中学対私立学校の枠組みの中での原則どおりの取り決めにのっとり、平成二十二年度入試においては、この形の推薦入試は各校とも実施できないこととなりました。
大半の私立高校では概ね「推薦」入試ではなく、「優遇」等の形で、二月十日からの受験日に同等の取り扱いをする模様です。二月の受験チャンスが減り(特に「私立併願」について)、最初の「合格」の時期も遅くなりますが、それ以外の部分では、実質的なマイナスはありません。詳細は志望校にお問い合わせ下さい。また事前相談等のタイミングも変わりませんので、裏面の記事を参考に、説明会等にお出かけ下さい。
今号は発行日を十一月四日としてお届けさせていただきます。本紙の発行主体を「有限会社言問学舎」と改めてから満五年、すなわち会社創立五周年を紙上に刻む目的でのことです。社会情勢から見ても塾業界に好材料が少ない中、まず五年の歩みを刻むことができたのは、ひとえに皆様方のご理解とご支援の賜物と、深く感謝しております。
記事に書きました通り、新政権の発足によって文部科学省行政、教育政策にも大きな変革がもたらされそうな状況です。とはいえ先般まとめられた来年度予算の概算要求は九十五兆円もの規模に上っており、今後の査定作業の中で何が実行され、何が削られるのか、目を離すことのできない毎日が続きそうです。
変革を実行する時は、抵抗も大きいものです。しかも今回は明治維新や第二次大戦の敗戦時に匹敵するほどの大変革と見る向きもあるほどです。チェックするべきところはチェックしつつ、国民も大きな視点で流れを捉えていくべきでしょう私どもでは第三期の中三生が来春大学受験を迎えることになり、長年慈しんで来た生徒たちが、いよいよ「受験」のラストステージに臨むところです。
本文では割愛しましたが、昨今は大学入試も様変わりの著しいものがあり、AO入試、自己推薦、公募推薦等々、学力試験以外の方法で、多くの機会に志願者を集める傾向となっています。
私の教え子にもすでにAO入試で合格、内定をもらった生徒たちがおりますが、こうした入試で求められるのは「自己表現力」であることをお知らせするべきと考え、本欄にてひと言、お伝えする次第です。
一方、こうしたチャンスにせっかく早く合格しても、入学後、学力的について行けないのでは本末転倒です。早期合格者も、一般入試でその大学に受かるぐらいの勉強はしておかなければなりません。これもお伝えすべき大変重要なお話です。