そして三ニアーがすぎ、ツグラー国のだいせんそうが、ようやくおわりをつげたころ。
みけはかえってきたへいたいたちのしょうどくやてあてにおわれながら、ねこ先生のかえりをまちつづけていました。
けれども王さまがかえり、まいにちおおくのへいたいたちがかえってきても、ねこ先生はかえってきません。
「ねこ先生かえってきて。ねこ先生かえってきて。」
みけのむねははりさけそうでした。あんなにかえりをまっていたのに。
かえってきたへいたいたちのだれも、ねこ先生のすがたをみていないというのです。
「ねこ先生かえってきて。ねこ先生かえってきて。」
おなじことばをくりかえしながら泣いていても、その声のだんだん弱々しくなっていくのが、西の谷のねこたちには、よくわかりました。
このままではねこ先生もかえってこないし、みけまでもがどうなってしまうかわからない。
だれもがなんとかしなければ、と思いました。
みけはいまでは何かにとりつかれたように、ひるのあいだは死にものぐるいでポンポンちりょうをつづけています。
長老ねこは、王さまのところへいくことを決心しました。
まだこの時代でも、直訴(国のけん力者に直接訴えること)は重いつみになりますから、長老はみけのために自分のいのちをなげだすかくごだったのです。
すると、そのとき。
西の谷への入り口の、灰かぶりとうげのあたりから、さわやかなかぜが吹いてきました。
みんながとうげの方を見上げると、そこにはおみやげをたくさんかかえたねこ先生が、日焼けした顔をほころばせて、立っていたのです。
ねこ先生と再会したときのみけのよろこびようを、そうぞうしてみてください。まわりのねこたちは、そのあまりのけなげさに、みんなもらい泣きしたといいます。
ねこ先生は、やさしくみけの肩をだいて、それまでの苦労をねぎらうのでした。
それから、ふたりはどうしたか、って?
マーター国の灰かぶりとうげを地図でさがして、そこからそっと、西の谷をのぞいてごらんなさい。
いまもそこでは、ポンポンちりょうの音がきこえています。
たくさんの子どもやまごにかこまれながら、すこしおじいさんになったねこ先生と、ベテランの名医としたわれるみけ先生がにこにこして、ねこのかんじゃたちをなおしているはずです。
おわり